御熱意

昨日、戦後すぐの怪しい出版社文潮社とその雑誌「小説季刊 文潮」についてちょろっと書きました。実はその雑誌の奥付に編集者として水上勉と書かれているのです。水上勉は無名時代にいろんな職業についていましたが、この文潮社の編集職もその一つだったのでしょう。



ちなみに彼の処女作「フライパンの歌」も文潮社から出ています。昭和23年7月に初版を出し、昭和24年4月には3版まで行ってますからなかなかの売れ行きと言えるでしょう。同書のあとがきで水上は「校正で読みかへしてみて私は後悔した。かやうな不出来なものを(中略)上梓する自分が情けなくなったのである。インフレ下の米塩の資に代ふべく余儀なくされ。文潮社の池澤丈雄氏の御熱意に負けたのである」と書いています。謙遜と思いますが、池澤社長のごり押しの気配も感じられます。



水上勉氏、印税は受け取れたのかしら。心配になりますね。



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